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更新日:2022年1月24日

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平成31年度施政方針

平成31年度施政方針(PDF:425KB)

龍郷町長 竹田 泰典

本日、ここに平成31年第1回龍郷町議会定例会が開催されるにあたり平成31年度の町政運営について、私の所信の一端を申し上げ議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

私は、一昨年11月に町長に就任してから2年目になります。

この間、「目配り・気配り・心配り」という基本的な姿勢を大切に、町民目線で町民と語らい、町民の皆様のお知恵とお力添えを頂きながら、「安心安全なまちづくり、暮らしやすいまちづくり、にぎわいのあるまちづくり、そして、真にたつごうらしいまちづくり」をモットーに、町民の皆様との協働参画による町民主体のまちづくりをすすめ、また、第5次龍郷町総合振興計画を理念とし、「住んでいる人が幸せを感じながら住み続ける龍郷町」「訪れる人が住みたくなる龍郷町」の実現に向けて、町政を推進しているところであります。

現状と町政に臨む基本方針

さて、国においては昨年5月、国と地方の骨太の方針策定等についての協議の中で安倍内閣総理大臣は、基本的な姿勢は引き続き、「地方の活力なくして日本の活力なしである。地方の声に徹底して耳を傾け、地方創生に向けた挑戦、自らの発想で工夫をこらして、地方の取り組みを加速させていく考えである」と述べておられます。

本町においては、龍郷町創生総合戦略のもと、2060年の本町の目標人口を「5,468人」と設定し、活力ある龍郷町を将来世代に引き継ぐために、「地域経済の振興」に重点を置く戦略となっております。

そこで、「町内で稼ぐ人・企業を増やす」ことを総合戦略の基本理念とし、本町が有する地域資源活用、商品開発や島内外の市場拡大に対する支援を実施していくことで「地域経済の振興」の実現を目指してまいります。

しかしながら、本町においても国と同様、社会保障経費や扶助費等の義務的経費の増大や道路・橋梁・住宅・学校施設などインフラの維持管理や更新経費の増加が見込まれることから、今後とも財政状況の見通しは非常に厳しい状況であり、町政運営にあたっては、社会経済情勢の流れを的確に見極めながら、町民の皆様が安全で安心して、健やかに暮らせるまちづくりに向けて、バランスとスピード感を持って積極的に取り組む必要があると考えています。

 

さて、一昨年3月に奄美群島国立公園が誕生し、世界自然遺産登録へ向けての現地調査も行われましたが、昨年5月国際自然保護連合から登録延期の勧告を受け、政府は世界遺産条約の関係省庁連絡会議で自然遺産候補「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」を再推薦することを正式に決め閣議で了解の上、2月1日に推薦書を再提出したところです。

本町においては、世界自然資産登録推薦区域のサブ施設となりうる、奄美自然観察の森再整備事業を、平成33年度の完成を目指し推進していくと共に、龍郷町の素晴らしい自然景観や秋名アラセツ行事等の歴史・文化、長い伝統を誇る大島紬、放映された大河ドラマ「西郷どん」効果など貴重な地域資源に磨きをかけ、交流・関係人口の増加を図りながら、観光の振興をはじめとする地域経済の活性化に努めて参りたいと考えております。

また、奄美群島振興開発交付金による、航路航空路運賃の軽減策で関東・関西からのLCC便就航等による奄美への交流人口は年々増えてきております。これらの事業は今年度も継続して実施される予定となっておりますが、生活環境や産業基盤などの奄美の振興を支える奄美群島振興開発特別措置法も今年度末には期限を迎えます。

そのような中、平成31年度は世界自然遺産登録へ向けての取り組みや奄振法の確実な延長など、龍郷町にとっても極めて重要な年と考えております。そのためにも、国・県と連携を図りながら奄美自然観察の森再整備、龍郷小浜地区の公園整備、一般社団法人イモーレ秋名が運営する、体験・交流事業の拠点施設整備事業を重点課題として積極的に進めて参ります。

 

自然災害については、昨年は西日本豪雨や北海道での地震など、全国各地で大規模災害が多発いたしました。

本町においても、昨年8月から9月にかけての連続した台風の襲来や、嘉渡集落や中勝集落での火災、今年に入ってからは円集落で火災が発生し、多数の町民が被災されました。被災された皆様へは心よりお見舞い申し上げますと共に、町といたしても迅速に対応し、各種団体やボランティアと連携して復旧・復興に積極的に取り組んでいるところでございます。

過去の奄美における大水害や昨今の国内外の自然災害を顧みますと、私たちの経験や想像をはるかに超えた、大きな災害を常に念頭に置き、普段からその備えを行う必要性を痛感いたしました。

本町といたしましては、「龍郷町地域防災計画」に沿って、災害時における関係機関との情報収集・情報提供の体制整備や自主防災組織の充実、防災訓練の実施など町民が安全で安心して暮らせるよう、今後とも災害に強い町づくりを推進して参ります。

そして、町政運営にあたりましては、引き続き第5次龍郷町総合振興計画に基づいて、「歴史と文化をつむぎ未来へつなぐまちづくり」「人々の心に宿る町たつごう」の実現に向けて、

1.地域資源を生かした産業を創造するまちづくり。

2.健やかで安心して暮らせる健康・福祉のまちづくり。

3.快適な生活環境でゆとりあるまちづくり。

4.豊かな心を育む教育と歴史と文化が薫るまちづくり。

5.人がふれあい個性が輝く交流・連携のまちづくり。

6.効率的な行財政運営で共に創るまちづくり。

以上、6つの町づくりを基本政策として展開して参ります。

1.地域資源を生かした産業を創造するまちづくり

はじめに、「地域資源を生かした産業を創造するまちづくり」について申し上げます。

農業につきましては、まずハード面においては、農業基盤整備促進事業浦地区での排水路及び農道整備について、未整備の農道及び水路を順次整備してまいります。また、同事業の龍郷北部地区においては、久場集落及び赤尾木集落の農道整備を実施して参ります。そのほか、引き続き農家の皆様のご意見等をいただきながら国・県の事業などを活用し、より良い農業生産基盤の整備に計画的に取り組んで参ります。

次にソフト面について、現在、農家の高齢化に伴う担い手の確保、耕作放棄地の解消などが喫緊の課題となっており、地域の特徴を生かした安心・安全な農産物を安定的に生産できる農業を目指し、魅力を感じる産業にする必要があります。そのために、営農指導員を配置することにより、認定農業者に対する安定した農業経営の推進と指導、担い手農業者の確保・育成を引き続き図りながら人材の確保に努めます。

耕作放棄地解消に向けては、農地中間管理機構など関係機関と連携しながら、耕作放棄地対策事業等を活用すると共に、担い手等への農地の利用集積を引き続き積極的に努めて参ります。

また、これらの課題解決に向けた新たな施策の展開として、農作業を受託する「法人化」の設立を検討しております。31年度は農家の皆様や関係機関のご意見をいただきながら、法人の具体的活動内容を整理し、平成32年度の事業開始に向け準備を進めて参りたいと考えております。

法人を設立することで、高齢化に伴う離農と耕作放棄地の増加という流れに歯止めをかけるほか、新規就農者の育成及び、雇用の受け皿としての機能も期待できるのではないかと考えているところです。

サトウキビにつきましては、昨年の度重なる自然災害等により生産量はこれまでにない減収が見込まれておりますが、今後も土づくりを推進するため、町単独による堆肥・薬剤の助成や優良種苗の導入及び普及に努めて参ります。

また、耕作放棄地等の拡大を防止するため、イノシシ防護柵の設置を継続的に実施し、春植え・夏植えの収穫面積の拡大と単収増を図りながら、農家所得の向上に努めて参ります。

果樹や園芸作物につきましては、農家や農協各生産部会及び青年農業者組織等への農家指導や、各種講習会を実施するなど栽培技術のレベルアップによる生産性の向上を図ります。

特殊病害虫対策に関しましては、誘殺時の対応マニュアルに基づき、各機関と連携した侵入警戒調査や、初動対応の強化を継続して実施して参ります。

畜産につきましては、近年、枝肉相場の好調によりセリ価格は高値で推移し、農家の生産意識は高くなっておりますが、新たな母牛を導入する場合に価格が高騰しているため、増頭・更新は自家保留で対応せざるを得ない状況が続いております。こうした中、本町では、肉用牛特別導入事業や優良牛保留対策事業を積極的に活用し、粗飼料自給率や、生産性と商品性の向上に努めて参ります。

林業につきましては、幹線道路沿線等のマツ枯損木の伐倒・除去や松くい虫の防除事業を継続するとともに、森林の持つ公益的機能の維持・増進に努めます。また、円林道については、路面保護のための舗装工事を継続して行って参ります。

水産業については、漁獲量の減少や魚価の低迷、燃油の高騰など漁業者を取り巻く環境は極めて厳しい状況にありますが、離島漁業再生支援事業を活用したイカシバの設置や種苗放流、魚食普及の取組など漁業者の主体的・自発的な活動を継続して促進し、離島漁業の振興に努めて参ります。

商工業の振興につきましては、商工会の育成・強化を図り、経営支援や起業人材の育成等を促進するとともに、プレミアム商品券発行助成など、商工業者の自主的な活動を支援して参ります。

また、大島紬の振興につきましては、本場奄美大島紬協同組合など関係機関と連携しながら、後継者の育成や産地再生に向けた取り組みを進めるほか、本場奄美大島紬購入費等助成による販売の促進を図り、大島紬の伝統柄である龍郷柄・秋名バラの発祥の地として、紬着用の推進と紬ショーを開催し、大島紬の歴史・文化の薫りを感じられるまちづくりに努めて参ります。

特産品の振興につきましては、広域的な連携のもと本土での物産展への参加や静岡市・友好都市菊池市などとの物産交流を継続して実施し、島育ち産業館においては、地産地消の推進や特産品の販路の拡大・情報の発信に努めます。

観光の振興につきましては、本町は豊かな自然や伝統文化など多くの優れた観光資源に恵まれており、龍郷町観光振興計画に基づき、龍郷らしい観光振興策を実施するほか、「一般社団法人あまみ大島観光物産連盟」や他市町村との広域的な連携のもと、奄美ならではの観光振興に努めて参ります。

また、来年登録されるであろう「奄美・琉球諸島の世界自然遺産登録」に向け、国・県をはじめとする関係機関の支援をいただきながら、奄美自然観察の森再整備事業や、龍郷小浜地区の公園整備事業、秋名・幾里集落における体験交流型拠点施設を整備し、観光客の利便性・満足度の向上に努めて参ります。

エコツーリズムの推進につきましては、奄美群島エコツーリズム全体構想に基づき、奄美大島エコツーリズム推進協議会を中心に、認定ガイド制度による安心・安全で質の高い、自然環境の保全との両立を目指したエコツーリズムを推進します。

さらに、大島本島全市町村が連携して実施している奄美満喫ツアー事業などを継続的に進め、本町並びに奄美大島の知名度の向上、観光客の誘致、交流人口の拡大を積極的に推進してまいります。

また、昨年8月に開催された「明治維新150周年記念シンポジウム」において交流宣言を行った、台湾宜蘭市・京都市・菊池市・さつま町と更なる連携を深め、歴史文化、郷土教育、観光物産の分野においても協力・交流を図ってまいります。

さらに今年は、山形県酒田市の「荘内南洲会」との交流も予定しており、来る2021年の「西郷菊次郎生誕160周年祭」へと繋げて参ります。

2.健やかで安心して暮らせる健康・福祉のまちづくり

次に、健やかで安心して暮らせる健康、福祉のまちづくりについて申し上げます。

母子保健事業につきましては、妊婦や乳幼児の健康保持を図るため、妊婦健康診査、乳幼児健康診査、家庭訪問などの充実に努め、乳幼児の発育、発達の確認や子育て支援のための親子教室を開設し、未就学児やその保護者が集う育児サークルを新たに設け、さらなる育児支援に努めて参ります。

また、疾病予防のために予防接種を推進し、乳幼児の虫歯予防を図るために、保育所におけるフッ素洗口事業や保育士、保護者への歯科教育を実施いたします。子ども医療費の無料化については、引き続き中学校卒業まで無料とし、保護者の負担軽減を図って参ります。

健康づくりを推進するための総合計画である、「健康たつごう21」を指針として、生活習慣の改善と一次予防に重点を置いた保健指導を積極的に進め、特定健診やがん健診など受診率の向上及び、スピード健診も引き続き実施致します。

健康づくりに対する町民意識を高め、自らが健康管理と生活習慣病の重症化予防、医療費削減、新規透析患者の減少を目指します。特に糖尿病対策として、昨年度から取り組んでいる医療機関との連携をさらに強化し、重症化予防に努めます。

児童福祉につきましては、龍郷町子ども・子育て会議のご意見等を伺いながら、本町「子ども・子育て支援事業計画」に基づき、本町の未来を担う若者が定住しやすい、安心安全な環境づくりと、安定的な保育サービスの提供を進めるため、今後とも、保育所のあり方検討委員会で検討して参ります。

また、放課後児童健全育成事業の安心安全な運営のため、既存の2か所の専用施設に加えて、今年度新たに放課後児童クラブを秋名へき地保育所に併設し、赤尾木地区にも開所すると共に新たに専用施設を建設いたします。また、玉里地区内には小規模保育保育所の新たな開設も予定されているところです。

さらに、奄美看護福祉専門学校に通う学生及び大島養護学校へ通う児童生徒に対し、若者の定住促進、子育て支援の一環として、通学費の助成を今年度も引き続き実施いたします。

障がい福祉につきましては、昨年、「第5期障害福祉計画」を策定し、障がい介護給付や訓練給付サービスなど現在提供しているサービス基盤の強化に努め、自立支援や地域生活支援を引き続き行います。加えて昨年策定されました、「第1期子ども療育計画」に基づき、障害児の多様化するニーズに対応いたします。

高齢者福祉につきましては、町内間のバス無料化、保健福祉センター入浴無料化、在宅介護人手当支給、配食サービスなど引き続き実施します。

また、高齢者の自主的な活動を促進し、地域づくりの大切な担い手として活動していただけるように、老人クラブへの助成やシルバー人材センターの充実を図り、住み慣れた地域で元気で生きがいを持って暮らせるまちづくりに努めて参ります。さらに要援護者を地域で支え、安心して暮らすことができるよう見守り・支え合いの組織づくりを推進し、安心安全な町づくりを進めて参ります。

介護保険事業につきましては、医療、介護、福祉、生活支援等が包括的に確保される「地域包括ケアシステム」の構築が今後ますます重要となっています。

本町においては現在、「第7期介護保険事業計画」に基づき、「住み慣れた場所で健やかで安心して自分らしく豊かに暮らせる町」を目標とした体制づくりを推進しております。高齢者を地域で支え合い、自助、互助を守り育てる仕組みや、医療と介護の連携を強化し、認知症高齢者の支援や社会参加の促進、介護予防の充実など介護保険事業の適正な運営と、安心安全な町づくりを進めて参ります。

国民健康保険事業につきましては、医療費の適正化に努めながら、重症化予防の訪問指導を強化すると共に、特定健診の受診率向上に努めて参ります。また、昨年度から県が財政運営の主体となっており、町においては、引き続き資格の取得や保険税の賦課徴収等の身近な窓口となります。

今後とも、健康づくり意識の高揚を図り医療費適正化事業を実施しするなど、国民健康保険制度の健全な運営に努めて参ります。

3.快適な生活環境でゆとりあるまちづくり

次に、「快適な生活環境でゆとりあるまちづくり」について申し上げます。

水道事業は、住民生活に必要不可欠なライフラインであります。昨年度までに、荒波地区、龍南地区の配水管・給水管布設整備事業、赤尾木配水池新設築造整備事業を行い安定した水の供給確保に努めて参りました。

今年度は、更なる持続可能な経営の確保に向けて取り組んで参ります。

環境行政について、廃棄物対策として本島内5市町村で運営管理している名瀬クリーンセンターへのごみの搬入量は、近年減少傾向にありますが、今後も地域住民と協力し、徹底したごみの分別をすることで、ごみの減量化と資源化を推進して参ります。

また、不法投棄防止パトロールや、海岸漂着物地域対策推進事業を継続的に実施し、景観及び自然環境の保全に努めて参ります。

更に、地球温暖化防止対策として、平成30年に策定した龍郷町地球温暖化対策実行計画に基づき、公共施設等における温室効果ガスの排出量の削減に努めて参ります。

生活排水対策として、合併処理浄化槽整備を推進しておりますが、平成29年度末の汚水処理人口普及率は70.7%と国・県の平均を下回っております。今後とも合併処理浄化槽の普及に向けて、生活排水処理事業を継続的に進め生活環境・公共用水の水質保全を図って参ります。

自然環境の保全対策については、奄美群島成長戦略推進交付金事業を活用し、アマミノクロウサギをはじめ、多くの固有種や絶滅危惧種を保護することを目的に、環境省、鹿児島県、本島内5市町村が連携して、ノネコ・野良猫対策などを実施して参ります。

本町は、国道58号線沿いにおいて事業所の進出や、民間活力による住宅の建設が相次いでおります。このような状況を踏まえ、今後とも、計画的な土地利用及び自然環境との調和するインフラ整備を充実し、安心安全で快適な住みよい町づくりを推進いたします。

町道につきましては、社会資本整備総合交付金事業の導入により、屋入赤尾木線の用地買収及び改良事業を進め、国道58号線の補完道路としての浦赤尾木線を継続して実施するほか、老朽化した橋梁等や町道の路面補修を随時整備いたします。また,本茶安木屋場線の一部未改良区間の改良舗装を実施し、自然観察の森から荒波地区に至るアクセスの整備充実を図ります。

住宅整備につきましては,公営住宅ストック総合改善事業により、浦団地3棟9戸の改修を行い居住環境の向上を図ります。

また、大美川の総合流域防災事業、地すべり対策事業など、大島支庁や関係機関と連携を図りながら、早期完成に向けて取り組んで参ります。併せて、浦地区砂防事業及び、国道58号線の役場前から浜千鳥館前の拡幅改良事業の早期着手に向けて努力して参ります。

地籍調査事業につきましては、公共事業等を円滑に推進するため、また、将来の境界紛争の予防を図るためにも、国・県・その他関係機関に引き続き事業費拡大の要請を行い、早期完了に向けて努力して参ります。

防災対策につきましては、近年の異常気象による予測困難な大規模災害に備え、「龍郷町地域防災計画」を基本とし、自主防災組織と地区の消防団を中心とした防災訓練など、「自助・共助・公助」の考えのもと、町民と行政が一体となった災害に強い町づくりに取り組むほか、災害時における情報伝達体制を強化するため、防災行政無線の整備・充実を計画的に進めて参ります。

消防体制の充実・強化につきましては、本年度は経年劣化の著しい小型ポンプ付積載車3台と積載車1台を更新し、消防車両及び資機材等の維持充実に取り組んで参ります。

また、多発する火災に鑑み、消防団と連携し防火教室開催の頻度を増やし、女性消防団員募集による防火指導や見回りを実施するなど、安全・安心の基本である火災予防思想の普及啓発に努めます。

救急業務については、業務内容の高度化や奄美ドクターヘリの運用に伴い、引き続き救急救命士と消防団・FR隊の質の向上を図るために研修機会を設け、救命率の向上に努めて参ります。

交通安全対策については、本年度も引き続きカーブミラー等交通安全施設の整備や維持管理に努めるとともに、交通ルールとマナーの実践を習慣づけるため、交通安全教室等の啓発活動の推進や、春と秋の全国交通安全運動期間のパレードを通して、交通安全意識の高揚と交通事故防止に努めて参ります。

防犯対策については、地域安全週間等における啓発活動を実施し、関係団体と連携して防犯意識の高揚を図り、犯罪のない安全・安心して暮らせるまちづくりを推進します。

4.豊かな心を育む教育と歴史と文化が薫るまちづくり

次に、「豊かな心を育む教育と歴史と文化が薫るまちづくり」について申し上げます。

近年の国際化や少子化の進行、さらには、経済環境の変化や価値観の多様化などに急激な変貌がみられる中、教育界においても時代に対応した教育のあり方が求められております。昨年度からは道徳の教科化がなされ、2020年度には小学校英語教育における必修化、教科化に向け主体的・創造的に生き抜く力を育てていくことが強く求められています。

まず,学校教育においては,「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」「個性の伸長」を図り「たくましく生きる力」を備えた児童生徒の育成に取り組んでいくことが大切であります。「クローバープラン」の実施によって「自尊感情」や「自己肯定感」を育て、ICT機器等の効果的な活用により複式授業の充実と学力向上に努めます。また、昨年度、教職員の業務改善を図るため導入した「校務支援ソフト」を本年度から運用を開始します。

さらに,家庭との連携で「家庭学習60・90運動」の一層の充実を図るとともに,児童生徒の健やかな成長を願い国民運動の「早寝・早起き・朝ご飯」を推進し,基本的な生活習慣の確立に努めます。

昨今,誠に残念ながら全国的に子どもが犠牲になる事件や、自らの命を絶つというような痛ましい事件・事故が多発しており、安心・安全な社会環境・学校環境づくりが急務となっています。

多感で心身共に著しく成長する思春期は不安や悩みが生じやすく、このような課題にさらに対応できるよう、「スクールソーシャルワーカー」を今年度1人増員し2人体制として配置するとともに、子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援をするための「特別支援教育支援員」を継続して配置し、生徒指導や特別支援教育の充実及び「生命尊重教育」の推進に取り組んで参ります。

また、いじめ防止対策法に規定する重大事態が発生した場合には、「龍郷町いじめ問題調査委員会」を設置し対処いたします。

本年度も、鹿児島県教育委員会が進めている「地域が育むかごしまの教育県民週間」と連動して「龍郷町教育旬間」を位置づけ、「龍郷町の子どもは龍郷町民の手で育てていく」という「ふるさと教育」の理念のもと、学校教育や社会教育を進めていきます。「立志・好学・親和・礼節」の教育指針実現を目指し、子どもたちの持っている能力を引き出し、「生きる力」を育てるため教職員や全ての教育関係者、保護者、地域の方々と力を合わせて取り組みます。

学校施設整備については、昨年度から継続事業として計画している学校施設長寿命化計画を策定して、学校施設の維持管理を計画的に実施し、昨年度着工した龍南中学校屋内運動場の早期完成に努めてまいります。

子どもたちの読書離れに対処するため、ふるさと納税基金を活用して図書を購入し、学校図書館やりゅうがく館図書室を充実し、移動図書による巡回貸出しにより、児童生徒から町民まで良書に触れる機会を増やします。

学校給食については、昨年度、本町の学校給食センターが、衛生管理の意識徹底、地場産物の活用、食育活動の計画的実施が評価され、文部科学大臣賞を受賞するという栄誉に浴しました。

今年度も季節料理・郷土料理などを取り入れた献立の工夫と、各関係機関協力による地産地消体制を充実し、安心・安全で高品質な学校給食づくりと食育の推進に努めます。

また、食物アレルギーへの対応は文部科学省の指針を踏まえ、学校生活管理指導表の提出が必須であるため、経費の一部を町で負担します。

社会教育については、町民が生きがいを持ち充実した生活を送ることができるよう、幼児期から高齢期のそれぞれのライフステージに応じた学習機会の提供に努め、地域と学校を結ぶ学校応援団活動の推進による教育的風土の再構築や、子ども博物学士講座の充実を図ります。

環境教育においては、世界自然遺産登録に向けて、学校における環境教育から地域における環境学習への拡充に努め、子ども会活動や校外生活指導連絡協議会の活性化等により、青少年の健全育成を図っていきます。

また、中学生の学習習慣の確立と基礎学力の定着及び、学力向上のためふるさと納税を活用し、学習塾「龍進未来塾」を第2土曜授業以外の土曜日に継続して実施いたします。

また、生涯学習センター「りゅうがく館」を活用し、本年度も生涯学習講座を開設するとともに、図書室、文化財展示室等の充実により、ふるさと龍郷の自然・文化・歴史・地域の特性を生かした多様な学習機会の提供に努めます。

文化の振興については,児童生徒が芸術文化に触れる機会を拡充し、これまで受け継がれてきた伝統文化の若い世代への継承・普及に努めます。

今年度は、りゅうゆう館において、世界的なチェリスト「宮田大」コンサートを本町の児童生徒全員に鑑賞する機会を持つことにより、普段触れることのできない一流のクラシックコンサートを開催します。また、今後も町制施行40周年を記念して実施している「たつごうエッセイコンテスト」を継続して実施します。

文化財の保護・活用について、町内には美しい自然や豊かな歴史・文化に関する多くの文化財が点在しています。これらの文化財は、豊かな自然の中で育まれ、悠久の歴史や文化が生み出した貴重な文化遺産であり、これらの文化財を大切に保護し、郷土教育・環境教育の教材として活用していきます。

また、「りゅうがく館」の文化財展示室の文化財資料を活用して龍郷町の特性を発信し、観光資源として交流人口の拡大に努めます。

昨年は、大河ドラマ「西郷どん」の放映に併せて、特別企画展「西郷隆盛と菊次郎展」の開催により、来館者も飛躍的に増加し、西郷隆盛並びに本町で誕生した菊次郎の功績を発信したところですが、今年度も引き続き「菊次郎」展の常設化や名誉町民の「泉二新熊」先生の企画展を計画し、来館者に満足いただける展示に努めます。

スポーツ・レクリエーションの振興は、今後とも、関係団体と一体となって競技団体の育成・強化並びに、競技力の向上と底辺の拡大を図るとともに、「マイライフ・マイスポーツ」運動を推進し、町民の親睦と健康増進に努めます。

今年は、長崎県対馬市で、国土交通大臣杯全国離島交流中学校野球大会「離島甲子園」が開催されます。この大会は、地理的環境から島外との交流機会の少ない全国離島の中学生が一堂に会し、野球を通じて「島」と「島」との交流を図り、新たな人間形成や健全な青少年・少女の育成を目的としており、本町からもふるさと納税を活用し、龍郷合同野球チームを参加させます。

学校保健の推進については、学校の教育環境の適正な維持管理に努めるとともに、児童生徒が安心して登下校できるよう継続して「スクールガードリーダー」を配置します。また、児童生徒及び教職員の健康管理を推進するため、眼科検診やストレスチェックを実施いたします。

5.人がふれあい個性が輝く交流・連携のまちづくり

次に、「人がふれあい個性が輝く交流・連携のまちづくり」について申し上げます。

町民が暮らしやすい集落の環境づくりや、町民が主体となった取り組みなどを協働で推進するために「たつごうみらい会議」からの政策提言、区長会や民児協及び町民と語る会などでの意見・要望事項を基に、各集落における課題点を的確に把握し、計画的に課題解決や支援を行って参ります。

特に、国県の補助事業等で十分な対応ができないものについて、事業実施の財源確保を目的とした「安全安心対策基金」を設置し、可能な限り状況の改善に努めます。

地域情報通信については、町内全域で光ファイバーケーブルを接続し、住民がインターネットやデジタル放送等、各種サービスを受けられる情報通信網の整備をさらに図ってまいります。併せて、FM難聴地区の解消を図るため平成31年度にコミュニティFM難聴地区解消事業を実施し、災害時における迅速かつ的確な情報伝達と、通常時におけるきめ細かい行政情報発信に努めて参ります。

人権教育については、学校教育や社会教育を通じて、性別や国籍等による差別や虐待等の撤廃に向けた意識啓発を図るために、町内小中学校や関係団体と連携を図りながら人権教育の啓発促進に努めて参ります。

また、男女共同参画社会については、「龍郷町男女共同参画基本計画」に基づき、男女が社会の対等な構成員として、自らの意志によって社会のあらゆる分野における活動に参画し、共に責任を担うべき社会の実現に向けて取り組んで参ります。

6.効率的な行財政運営で共に創るまちづくり

次に、「効率的な行財政運営で共に創るまちづくり」について申し上げます。

公共施設の適正管理につきましては、多くの公共施設が耐用年数を迎えておりますので、「龍郷町公共施設等総合管理計画」に基づいて、施設ごとの長寿命化計画を策定し、施設の更新・統廃合などを計画的に行うことにより、財政負担の軽減及び平準化による公共施設等の適正管理に取組んで参ります。

行政改革につきましては、「第4次龍郷町行政改革大綱」に基づき、「持続可能で自立した地域社会を創るための新たなまちづくり」という考えのもと、町民に期待されている質の高い事業やサービスを持続的に展開するものであります。町民の皆様のご指導ご協力を賜りたいと思います。

行政組織では、職員数と庁舎スペースの兼ね合いから、昨年度設置した「戦略プロジェクト推進室」を「企画観光課」に移管して、「企画戦略プロジェクト推進室」とし、商工・観光部門との連携強化を図ります。

また、町民税務課内の児童福祉部門を「保健福祉課」に移管し、保健・医療・福祉サービスの窓口の一元化により、子育て支援係を新たに設置し

さらに、保健福祉課内の国民健康保険給付業務を「町民税務課」に移管することにより、国民健康保険業務の連携と徴税体制の強化・充実を図ります。

今後とも、「行政改革実施計画」や「定員適正化計画」に沿って、時代に即応した組織機構の見直し等により、効率的で質の高い行政サービスの提供に努めて参ります。

職員の資質の向上については、人事評価制度を継続して実施し、「能力評価」により職員個々の能力や業務への適格性を把握し適材適所への配置を目指すとともに、「業績評価」という目標管理型の評価制度により職員の士気の高揚を図ります。

また、町民から信頼され、町民の立場になって行動する職員の育成を図るため、各職員の能力を高める各種研修や、職員のやる気を高める職場環境の充実に努め、質の高い行政サービスが提供できるよう努めて参ります。

新たに、平成32年4月1日より「会計年度任用職員制度」が施行されます。本町においても、適正な人事管理行政の確保に向けた、会計年度任用職員制度移行への必要な措置を講じて参ります。

本町の財政状況については、「公会計導入等支援業務」を継続して実施し、国の統一的な基準による地方公会計の整備に努め、「最小の経費で最大の効果」が得られるよう、経費の節減と確実な歳入確保による財政健全化に努めます。

町税については、公平な税・保険料負担による安定した安心できる町づくりの実現に向け、各種税・保険料の徴収の強化と必要に応じた差押え等の滞納処分を実施し、さらに県や近隣市町村と連携した相互併任協定による徴収強化を図り、安定的な自主財源の確保に努めて参ります。

結び

以上、平成31年度の町政運営に対する所信と施策の概要について申し述べました。

国においては、全国的に急速な少子高齢化が進む中、社会を支える現役世代の割合が減少し、今後とも増大する社会保障制度の財源確保等が大きな課題となっています。

本町におきましても、地方交付税の算定基礎となる国勢調査人口の減や、町の自主財源である町税収入の確保が厳しい財政状況のなか、今後予想される行政需要の増大や、公共施設の長寿命化対策など引き続き厳しい行財政運営が続くことが予想されます。

 

このような厳しい状況を乗り越えていくためには、行政のみならず議会をはじめ町民の皆様のご理解とご協力が不可欠であり、皆様方のお知恵もいただきながら町の発展に努力して参りたいと考えております。

今後とも、健全で持続可能な行財政運営を堅持するとともに、町民の皆様が、龍郷町に住んで良かったと実感できるような町、若者世代の子育てを支援しながら、若者から高齢者のすべての町民が、笑顔があふれ幸せ満足度の高いまちづくりに向け、予算編成をしたところであります。

 

その結果、平成31年度の一般会計当初予算の総額は52億4,496万1千円となり対前年度比9.6%の減額予算となっております。

特別会計及び企業会計の平成31年度当初予算額は、6会計で21億9,533万4千円となり、対前年度比5.6パーセントの減額予算となっています。

具体的な内容につきましては、予算審議を通してご説明申し上げることとしておりますので、ご理解を賜りたいと思います。

以上、平成31年度の町政運営に関する基本的な考え方と、平成31年度予算の概要を申し上げました。

 

今後とも、第5次龍郷町総合振興計画の基本理念である「歴史と文化をつむぎ未来へつなぐまちづくり」を目指し、魅力あるまち「たつごう」を創り上げて参りたいと思いますので、議員の皆様をはじめ町民の皆様には、引き続き特段のご理解とご協力を心からお願い申し上げ、平成31年度の施政方針とさせて頂きます。

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